声(声帯)の病気
声の病気には、声帯炎、声帯ポリープ・声帯結節・ポリープ様声帯、喉頭肉芽腫、喉頭がん、反回神経麻痺などがあります。
急性声帯炎
のどの使い過ぎによる急な声のかすれは、ほとんど声帯炎によります。声がかれてから早い時期に発声の制限などの適切なケアや炎症をとるなどの薬物治療を行えば、改善してくることが多いです。
声帯ポリープ・声帯結節・ポリープ様声帯
声がかれる・かすれる、もしくは声が出しにくいといった症状は、声帯に何らかの異常があり、声帯ポリープ・声帯結節(けっせつ)などが考えられます。
声帯ポリープは、声帯炎の反復や声の使い過ぎ、喫煙が原因のほとんどです。
声帯結節は、声の使い過ぎが原因のほとんどで、歌⼿、教師、保育⼠に⽣じやすい病気です。
小児の場合、学童結節と言って、大きな声やがなり声で話す子どもに多いです。成長し声変わりとともに結節は消失することがほとんどです。
ポリープ様声帯は、両側の声帯がむくんで水ぶくれのようになった状態で、粗造性嗄声(そぞうせいさせい:がらがら声、だみ声)になります。ヘビースモーカーの方に多く、飲酒、大きな声を出すことを習慣にしている人になりやすい病気です。
治療方法としては、大声を出さない、禁煙する、発声訓練などを行い、急性期であれば炎症を抑える薬などを投与します。それでも改善が見られない場合は手術治療を検討することもあります。その場合は、連携病院をご紹介いたします。
注意が必要な点として、喉頭がんやその他の悪性腫瘍によって声がかれる場合があることです。声の調子がおかしいと感じた時は、早めに耳鼻咽喉科に受診しましょう。
喉頭肉芽腫(こうとうにくげしゅ)
声帯の後方の声帯突起部に生じる炎症性の腫瘤です。良性の疾患で腫瘍ではありません。
発症原因は、
1.声の張り上げ過ぎ、日常的に強い発声をしたり、咳払いが習慣化していることで、声帯の突起部分が強くこすり合い小さな傷を生じて潰瘍化します。これを「接触性肉芽腫」といいます。
2.手術などで気管内挿管を行った際に、声帯軟骨部に傷がついてしまったことが原因で生じる肉芽腫です。
3.逆流性食道炎によって胃酸の刺激や物理的な刺激を受けて生じる肉芽腫です。
上記記載の原因から、左右の声帯突起部が接触を繰り返すことで肉芽腫を作ると考えられています。症状としては、のどの違和感や嗄声(させい:声のかすれ)です。
治療は、発声訓練や薬物治療を行います。薬物治療は、炎症を抑える薬や、逆流性食道炎が原因によるものが多いため胃酸を抑える薬を使用します。改善しない場合や、腫瘍性疾患を否定できない場合は手術の検討も必要です。
喉頭がん
喉頭にできる悪性腫瘍です。発症には、喫煙と飲酒が関連するといわれており、症状としては嗄声(させい:声のかすれ)、呼吸困難、誤嚥などが起こります。風邪を引いているわけでもないのに、2週間以上嗄声(させい:声のかすれ)が改善されない場合は、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診してください。当院では、最新の内視鏡(電子ファイバースコープ)にて、喉頭内をモニターで細かく観察します。痛みもほとんどなく数分の検査です。
喉頭がんの場合は、放射線治療や抗がん剤による治療や手術が必要となりますので、大学病院などの治療可能な施設をご紹介します。
反回神経麻痺
声帯は、声を出す役割を担っており、他にも飲み込んだ物が気管に入らないようにする役割があります。この声帯を動かしているのが反回神経となります。反回神経が麻痺すると、嗄声(させい:声のかすれ)や、誤嚥(ごえん:食べ物が喉頭や気管へ誤って入ってしまうこと)、呼吸苦などの症状が出現します。
原因は様々で、原因不明な特発性や、食道がん・肺がん・甲状腺がんなどによって反回神経に障害がおこることで麻痺を引き起こします。診断は、喉頭がんと同様に内視鏡での検査となります。がんによる反回神経麻痺の可能性もあることから、原因を調べるためCT等の検査が必要になりますので、連携病院へご紹介します。