副鼻腔炎

副鼻腔炎とは

副鼻腔炎は、顔の内側にある副鼻腔という空洞に炎症が起きて生じる病気です。副鼻腔炎が慢性化した状態のことをいわゆる蓄膿症(ちくのうしょう)と言います。
副鼻腔とは、上顎洞、篩骨洞、前頭洞、蝶形骨洞という4つの空洞の総称で、いずれも細い管状の通路を介して鼻腔とつながっています。
発症の原因としては、副鼻腔内で細菌感染を起こしたり、真菌(カビ)の影響や虫歯による炎症の波及などが考えられます。

副鼻腔炎の症状

  • 黄色い鼻水、悪臭を伴う鼻水
  • 鼻づまり、口呼吸
  • 額・目の奥・頬などの顔面痛
  • 鼻水がのどに垂れる(後鼻漏:こうびろう)、咳や痰
  • においを感じにくくなる(嗅覚障害)

上記のような症状があると副鼻腔炎の可能性がありますので、なるべく早く受診してください。

急性副鼻腔炎とは

急性副鼻腔炎の多くは風邪をこじらせ副鼻腔に細菌感染が起こることで発症しますが、近年増加傾向にあるのがアレルギー性鼻炎からの合併による発症です。副鼻腔炎を合併するアレルギー性鼻炎患者は全体の約4割にも及ぶとされ、花粉のシーズンは過ぎたのに鼻の症状が治まらないと思ったら実は副鼻腔炎を合併していたというようなケースも多く認めます。
さらに副鼻腔炎の炎症により耳と鼻をつなぐ耳管の入り口を塞いで耳閉感を生じたり、そこから感染が波及し中耳炎を合併したりします。また、まれですが副鼻腔炎の炎症が目や脳に波及して視力障害や意識障害などを合併することなどもあります。

急性副鼻腔炎の症状

黄色い鼻水、悪臭を伴う鼻水、鼻づまり、額・目の奥・頬などの顔面痛、鼻水がのどに垂れる(後鼻漏:こうびろう)、咳や痰、臭いを感じにくくなる(嗅覚障害) アレルギー性鼻炎や風邪のひき始めの頃は水気が多く透明だった鼻水(水っぱな)が、副鼻腔炎になると粘り気を強めて黄色くなります。その膿は悪臭が生じ、その膿がたまっている空洞の位置に応じて顔面痛が生じます。さらに鼻づまりによる嗅覚障害や鼻水がのどに流れ落ちる後鼻漏(こうびろう)やそのために咳や痰を引き起こしたりもします。

慢性副鼻腔炎とは

急性副鼻腔炎が治らず、症状が長期にわたって持続したものを慢性副鼻腔炎と言います。一般的には症状が2~3ヶ月以上持続した場合に慢性副鼻腔炎と診断されます。

慢性副鼻腔炎の症状

症状は急性副鼻腔炎と同じですが、炎症が長期化する事で副鼻腔内の粘膜の高度な腫れにより、鼻腔に鼻茸と呼ばれるポリープ状の膨らみが発生して鼻づまりを強めたりするようにもなっています。この鼻茸(鼻ポリープ)によって、嗅覚障害を引き起こすこともあります。

 

副鼻腔炎の治療方法

当院では、急性副鼻腔炎を発症した患者さんに、できるだけ早期に治療を開始し、慢性副鼻腔炎へ進展するのを防ぐために、日本鼻科学会の急性副鼻腔炎診療ガイドラインに基づいて診療を行っております。治療方法としては、

  • 抗生剤や消炎剤などを内服する薬物療法
  • 薬液を鼻腔内に噴霧するネブライザー療法
  • 鼻腔や副鼻腔内にある膿や鼻水を吸引、除去する処置

1~2週間で症状が改善する場合と、後鼻漏(こうびろう)・鼻づまり(鼻閉:びへい)などの症状が残る場合があり、レントゲンや鼻内所見、患者さんの自覚症状をお聞きし、副鼻腔炎が残っていないかどうか確認します。副鼻腔炎が残っている場合は、慢性化しないためにもマクロライド系抗生剤を少量飲んでいく治療を行います。

【参考】アレルギー性鼻炎が原因で発症する副鼻腔炎
副鼻腔は細い管状の通路で鼻腔とつながっており、この通路が花粉症やアレルギー性鼻炎の炎症による腫れなどで塞がれ、副鼻腔炎を発症します。アレルギー性鼻炎がある方は、副鼻腔炎を繰り返さないようアレルギー性鼻炎をしっかりと治療することが大切です。

一方、こうした保存療法では十分な効果が得られなかったり、鼻茸が発生しているような場合には、連携する総合病院をご紹介し、そちらで手術療法を受けていただくことをおすすめしております。手術は以前のような歯肉を切開し上顎骨を削るようなことはなく、鼻の穴から内視鏡を挿入して行う方法が一般化し、安全性が高く痛みや腫れなどの身体的負担を最小限に抑えた手術が可能になっています。

治療にあたってのご注意点

  • アレルギー性鼻炎をお持ちの場合、そちらの治療もあわせて行います。
  • 虫歯が原因の場合、歯科での治療もあわせて必要となります。
  • 真菌(カビ)感染が疑われる場合、連携する総合病院での検査・治療をおすすめしております。

 

ネブライザー

ネブライザーとは、霧状にした薬液を鼻や喉に噴霧して、直接患部へと送り届ける医療機器です。微粒子レベルの細かい煙霧となって鼻や喉へと送り出された薬は、呼吸とともに鼻の奥や気管支、肺などにまで到達します。こうして薬が患部に直接浸透し、作用するので、副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、咽喉頭炎、気管支炎、肺炎などの症状を効率良く和らげることができます。

子どもの副鼻腔炎について

子どもは、副鼻腔の構造上の特徴(顔面骨の成長)から副鼻腔炎になりやすいですが、治りやすく手術治療になる事はほとんどありません。ただ、副鼻腔炎が原因で急性中耳炎・滲出性中耳炎を発症しやすいので注意が必要です。また、鼻づまりが原因で、いびきをかいたり、口呼吸になってしまうことがあるので、早めに治療するようにしましょう。

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