花粉症・アレルギー性鼻炎について
アレルギー性鼻炎は、アレルゲン(アレルギー症状を引き起こす原因となる物質)を吸入することで、くしゃみや鼻水、鼻づまりなどの症状が出ます。風邪と違って、喉の痛みや熱などは伴いません。
そのアレルゲンには、家の埃やダニの糞、ペットのフケなどや、スギやヒノキなどの花粉などがあります。
日本人の5人に1人と言われる花粉症も、このアレルギー性鼻炎の一種となります。
スギやヒノキによる春の花粉症がよく知られていますが、初夏のイネ科の花粉症、秋のブタクサ、ヨモギによる花粉症などがあります。
症状
くしゃみや鼻水、鼻づまり、目の痒み、目の充血などが主症状となります。
アレルギー性鼻炎がある方が、鼻風邪(急性鼻炎)をひくと、ない方に比べ長引きます。また、急性鼻炎から急性副鼻腔炎になる可能性も高いです。そのため、風邪をひかないような体調管理とはやめの受診が大切です。
検査
この原因となるアレルゲンは、採血を行うことで調べることが出来ます。
原因を知り、アレルゲンから避けることで症状を軽くすることができます。
当院では、血液中のIgEと呼ばれるたんぱく質の濃度を測定することで、アレルギーの原因を調べる検査を行っております。大学病院などでも実施されている以下のような、採血によるアレルギー検査 CAP-RAST(最大13項目)や、多くのアレルゲンの検査が可能なViewアレルギー検査(39項目)のほかに、数滴の血液でアレルゲンを調べられる検査 イムファスト(3項目)や、イムノラピット(8項目)を行うことができます。
子どもから大人の方にもお奨めの検査です。
イムノラピッドについては、こちらの動画でもご確認いただけます。 動画を見る
薬物治療
内服薬
くしゃみ・鼻汁、かゆみに効果がある薬、鼻閉に効果がある薬などを組み合わせて治療します。眠気の少ない薬もあり、受験生などにも考慮した治療も可能です。
また、花粉症の場合、初期療法と言って花粉の飛散が開始する1ヶ月位前から(症状の出る前に)飲み始める方法もあります。症状が出てから飲み始めるのに比べて、症状が軽く済むことが多いです。
鼻スプレー
花粉症治療の効果が強く、副作用が少ないため、症状や鼻づまりが強い人には、内服薬に加えて局所スプレーを併用します。
舌下免疫療法
舌下免疫療法は、薬物療法やレーザー治療などのように対症的な観点からではなく、根本的な観点からアレルギーを治療する方法です。
現在、スギ花粉症とダニアレルギー性鼻炎に対する治療が可能です。
アレルギー性鼻炎のレーザー治療
これは、鼻粘膜にレーザーを照射しアレルギーの反応を鈍くしようとする治療です。年中アレルギー性鼻炎で悩んでいる方、慢性的な鼻づまりでお悩みの方、内服薬を減らしたい方にお勧めです。当院では、CO2レーザーによる鼻粘膜焼灼術を行っております。
レーザー治療をお勧めしたい方
- くしゃみ・鼻水・鼻づまりの中でも特に鼻づまりの症状がひどい方
- 年間を通して症状がある方
- 花粉の飛散時期の症状がひどい方
- 薬物療法では十分な効果が得られない方
- 薬を飲むと眠くなる方、薬を減らしたい方
- 妊娠中や授乳中など何らかの理由で薬物療法を行えない方
など
レーザー治療の流れ
花粉症・アレルギー性鼻炎のレーザー治療は、通常外来で実施しております。
必要に応じてアレルギーの原因物質を特定する検査などを行う場合もあります。
まず、高度な鼻中隔彎曲症があるなど治療に適さない条件があるかを診察します。次に痛みを抑える表面麻酔や出血を抑える薬液を鼻の粘膜にスプレーします。その後、麻酔を浸み込ませたガーゼを鼻の中に入れて、待合室で15分程度お待ちいただきます。
診察のイスに座った状態でレーザー治療を開始します。鼻の奥にまで入念にレーザーを照射していきます。なお、この間の痛みや出血はほとんどありません。所要時間は鼻の両側で10分程度となります(合計30分程度)
治療当日から1~2週間後に再びご来院ください。鼻の中の状態確認と同時にかさぶたなどを取り除いてきれいにする処置を行います。
術前・術後の注意点
- 日常的に血液をサラサラにする薬を服用していたり、いわゆる出血傾向をお持ちの方などは、診察の際にレーザー治療の適応可否について医師とよくご相談ください。
- 高血圧症や心臓病などの循環器系疾患、緑内障、前立腺肥大などをお持ちの方は、診察時など事前に必ず申告してください。
- 術後の1~2週間程度は、レーザー照射に対する反応として一時的に鼻水や鼻づまりが強く現れる傾向があり、希望によりこうした症状を抑える薬を処方します。
- 術後はレーザーが照射された場所が腫れたり・かさぶたが形成されるせいで、鼻づまりが強く感じられる場合があります。しかし、このかさぶたを無理にはがすと出血が生じる可能性があるので、ご自分ではいじらないようお願いします。
その他、気になる点がある場合には、ご遠慮なくご来院ください。
レーザー治療のQ&A
レーザー治療ってどんな治療?
アレルギーなどにより、むくんで腫れている鼻の粘膜(下鼻甲介)をレーザーで焼くことで、アレルギーの反応を鈍くし、鼻づまり、鼻水、くしゃみを緩和する治療法です。
治療に適さない人はいますか?
- 鼻中隔弯曲がひどい方(診察で判断します)
- 局所麻酔薬のキシロカインにアレルギーがある方
- 麻酔のためのガーゼが入れられない、約10分間の治療がじっと出来ない方
- 血液をサラサラにする薬を休薬できない方は要相談になります
上記でなければ、何歳からでも出来ますが、通常は、小学校高学年位からです。
効果はどのくらい持続しますか?
個人差はありますが、1~3年持続します。1回の治療で約75%の人に効果があると言われ、特に鼻づまりに効果が高いです。また症状が強くなってきたら、再度治療することで再び症状が良くなります。
副作用はありますか?
ほとんどの場合痛みなく治療できますが、必要に応じて局所麻酔の追加を行います。
鼻水に少し血が混じることがあります。また治療の刺激で鼻の粘膜が腫れ、くしゃみ・鼻水が数日続く場合がありますので、ご希望の方は鼻水止めのお薬を処方します。嗅覚障害など鼻の機能が損なわれることはありません。
術後に気をつけることはありますか?
当日は激しい運動、大量の飲酒、長風呂・サウナは控えて下さい。
いつでもできますか?
基本的には年間を通していつでも治療を行うことができます。スギ花粉症の場合、花粉の飛散時期の1ヶ月程度前に治療を受けるのが効率的とされていますので、スギ花粉が飛ぶ前の10月から1月までに行うのが良いでしょう。花粉飛散期の2月から4月のレーザー治療はお勧めしていません。通年性のアレルギー性鼻炎の方は、比較的症状が落ち着いている時に行うことをお勧めします。
費用はどの位かかりますか?
当院では保険が適応されますので、3割負担の方で、両側で約9000円です。(診療費は除く)