耳鳴りについて
日常生活の中で実際には音がないのに聞こえる状態を耳鳴りといい、本人にしか聞こえていません。現在では、耳鳴りにお悩みの方が40歳以上の人に約2割いるという統計があります。耳鳴りの原因が他の疾患にある場合は、その原因疾患を治療します。また、原因が加齢などによる場合は、日常生活に支障をきたす前に受診してください。
耳鳴りを起こす原因疾患
他の疾患が原因の場合
外耳・中耳の原因疾患としては、外耳炎、急性中耳炎、滲出性中耳炎、慢性中耳炎、真珠腫性中耳炎などがあり、内耳の原因疾患としては、突発性難聴、メニエール病、急性低音障害型感音難聴などがあります。
そのような疾患が原因の場合は、原因疾患の治療によって症状の改善が見込めます。
その他の原因の場合
上記のような疾患以外で老人性難聴などの内耳が原因でおこる耳鳴りや、原因不明の耳鳴りに対しては、薬物療法、TRT(音響療法など)を使って耳鳴りに対する不快感を軽減する治療を行います。
耳鳴りの症状について
- 耳鳴りのために物事に集中できない
- 夜寝るときに耳鳴りが原因で寝付きにくい
- 耳鳴りのためにイライラしてしまう
- 耳鳴りのために疲れやストレスを感じる
- 耳鳴りのために体の不調が心配で不安になる
耳鳴りについて周囲の人に相談しても「気にしすぎ」「神経質だね」などと言われ理解してもらえずより辛くなってしまう方が当院に多くいらっしゃいます。一人で悩まず当院に相談してください。
耳鳴りの治療方法
他の疾患が原因の場合
急性中耳炎、滲出性中耳炎、慢性中耳炎、真珠腫性中耳炎、メニエール病、突発性難聴 などが原因で起こる耳鳴りに関する治療については各ページをご参考ください。
薬物療法について
老人性難聴などが原因の耳鳴りを発症して半年以内であれば、薬や漢方による内服治療を行います。ただし、耳鳴りを発症してから時間が経っており慢性化している場合では、薬物療法では効果が期待できない場合があります。その場合は、TRT(音響療法)を行います。
TRT(音響療法)について
TRTとは、耳鳴りの順応療法と言われ、耳鳴りはあっても意識からはずす(気にならないようにする)という治療方法です。その一つに音響療法があります。
治療は、耳鳴りがあっても気にならない状態にする事が目的となります。ご自身が感じている耳鳴りを10とした場合に、その10の耳鳴りに別の8~9の音を流します。そうすることで耳鳴りの音が1~2くらいに感じるようになり、耳鳴りの感じ方を軽減していく治療を行います。結果として、耳鳴りはしているのに、特にストレスやイライラを感じない状態を体験させていきます。治療にはある程度期間がかかりますので根気よく取り組む必要があります。
難聴でない方(軽度な難聴)のTRT(音響療法)
耳鳴りが気になるのを軽減させるために、テレビやラジオを使用したり、人と話したりしていろんな音を積極的に聞く方法があります(自宅でできる音響療法)。ただ、テレビやラジオ、人と話すことを常に継続するのは難しいので、いつでもどこでも音が聞けるように人工の治療音を発生させる耳鳴り治療器(サウンドジェネレーター)を使用する方法があります。
難聴がある方のTRT(音響療法)
難聴によって、脳に必要な音が伝わらず、そのことを察知した脳が音をより強く聞こうとして過敏な状態になり、耳鳴りが起こります。そこで、補聴器を使用して必要な音を充分聞き取れるように調整する事で、脳の過敏性を軽減して正常な状態に近づき耳鳴りが改善します。